Zone A

社会的受容性の向上

F7 自動運転による社会・経済に与えるインパクト評価と普及促進策に関する研究

自動運転による社会・経済に与えるインパクト評価と普及促進策に関する研究

この取組では、シナリオアナリシスという手法を用いて、自動運転がもたらしうるいくつかの将来像を示しています。
それらは、自動運転の普及促進策や様々な政策を立案するための議論に役立てられることが期待されます。

取組の目的

取組の目的

議論の対象領域

議論の対象領域の図

A. 社会インパクトの定量化

自動運転車普及の試算

  • 自動車の機能に着目して、自動運転の社会インパクト評価に適した自動運転車カテゴリを再構築しました。
  • 8千名以上を対象とした消費者アンケートを実施し、それに基づいて将来の自動運転車の普及を試算しました。
自動運転車普及の試算のグラフ

交通事故削減の試算

  • 2018年度「交通事故死傷者低減効果見積もり解析手法に係る調査」で分類・整理された交通事故パターンのうち、第1当事者が四輪車である154の事故パターンを分析対象としています。
  • ASV第6期成果報告書を利用し、上述した事故パターン別に、事故回避に有効な機能、事故回避率を設定しました。(ITARDAマクロデータ集計委託データを利用して推計
交通事故削減の試算のグラフ

渋滞削減とそれに伴う燃料消費量削減効果の試算

  • ACC・自動運転車の割合や、車間の設定を様々に変化させて計算し、渋滞損失時間を評価しました。(挙動や車間の影響のみを試算)
  • 手動運転車より長い車間の設定を採用しました。
乗用車に占めるACCの稼働率のグラフ

物流におけるドライバー不足解消の試算

  • 交通量を勘案して、ドライバーレストラックの走行許可シナリオを作成しました。
  • インフラ整備(許可区間)と普及率の組み合わせによる人手不足解消度合いを計算しました。
物流におけるドライバー不足解消の試算のグラフ

B. これからの論点

多様化の時代における移動の価値とは?

これからの時代、多様な移動が求められるようになります。それに対して、自動運転により、多様な移動を提供できるようになります。

多様化の時代における移動の価値についての図

自動運転のデメリットをどのように考慮するか?

多様な主体を巻き込み、自動運転がもつメリットとデメリットの両方を議論することが必要です。

自動運転のデメリットについて

自動運転が普及した先の理想の社会とは?

モビリティに限定せず、どのような社会を実現したいのかを出発点としそのために自動運転をどのように活用できるのかという視点で議論をすることが重要です。

誰が自動運転を受容するのか?そもそも受容とは何か?

多様化するニーズに対応するためには、自動運転を運用・活用する主体が多様になることも重要。社会にかかわる全ての主体がサービスの開発ができるようになった結果、全ての主体が受容者になります。
社会的受容性とは、市民の受容性だけではなく、社会に関わる全ての主体の受容性を指すようになります。利用したい、実際に利用する、活用する、他者の利用を認める等、様々な受容のレベルが存在します。

自動運転の受容について

議論の場としての学生コンテストM-BIC

上述のような様々な論点について議論をするために、自動運転を活用した新たなビジネスプランのコンテスト「モビリティを活用したビジネス・イノベーション・コンテスト(M-BIC)」が開催されました。
産官学の参加者が約4ヶ月に渡って議論を重ねました。

学生コンテストM-BICの実績 M-BICは、一般社団法人モビリティ・イノベーション・アライアンス、東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構、同志社大学モビリティ研究センターが主催し、内閣府・デジタル庁の後援、民間企業・団体13者の協賛を受けて実施されました。
12月10日に開催された最終審査会では、会場・オンライン合わせて110名以上の聴衆を前に、学生チームにより自動運転サービスを用いた未来のビジネスアイデアの最終プレゼンテーションが行われました。

課題

  • 本取組では自動運転のもたらす交通需要の変化や都市構造の変化について考慮がされていません。
  • 本取組では、政策あるいは大手カーメーカーや物流企業を念頭に定量化が行われています。 一方、地域社会やベンチャー企業等を念頭に置き、必要な情報を提供することまではできていません。
  • 本取組では自動運転のもたらすメリットに焦点をあて定量化を行いましたが、デメリットについてもさらなる議論や定量化が必要です。